【実は飲める人ほど危険かも】アルコールと遺伝子の深い関係

「適度なお酒は健康に良い」なんてもう過去の話。赤ワインブームに乗って浸透した、お酒好きの人にとって都合の良い迷信となってしまいました。
近年の研究では、“飲まないのが一番安全”というのが国際的なコンセンサスになりつつあります。


お酒に強い・弱いの落とし穴

あなたはお酒に強いですか?それとも弱い?実はその自己認識から誤っている可能性があることを知っておきましょう。

お酒が体に与える本当の影響

アルコールは体内で「アセトアルデヒド」という発がん物質に変化し、さらに分解されて「酢酸」になって体外へ出ていきます。

この代謝に関わるのが、遺伝子によって違う2つの酵素。

あなたの体質はどっち?

● 顔が赤くなる人=ALDH2が弱い体質

  • ビール1杯で顔が赤くなる「フラッシャータイプ」
  • アセトアルデヒドが分解できず、身体に溜まりやすい
  • 少ない量で気分が悪くなりやすいけど、逆に「依存になりにくい」
  • 全くの下戸の人もいれば、飲んでいるうちに耐性がつき、飲めるようになる人もいる
  • 過去、顔が赤くなっていたが赤くならなくなった人は、「過去のフラッシャー」に該当
  • 日本人の40%がこの体質とされている

● 翌日もお酒臭い人=ADH1Bが弱い体質

  • アルコールの分解が遅く、長時間体内に残る
  • 飲んでも赤くならず、自分は“お酒に強い”と誤認しやすい
  • 実はアルコール依存症になりやすいハイリスクタイプ

👉 この2つの体質を併せ持つ人は、日本人の約2〜3%。実は4人に1人が将来アルコール依存症になるとまで予測されています。
単純にお酒が飲める・飲めない、お酒に強い・弱いという認識だけでは、自身の身体について理解しているということにはなりません。遺伝子的にどういった体質なのかを知っておくことは、予防医学の観点で非常に重要になってきます。


アルコールが引き起こす病気のリスト(一部抜粋)

以下はすべて「飲酒」が原因または悪化要因になる病気です。

  • 脳神経系:記憶障害、認知症、うつ病、不眠
  • 消化器系:食道がん、胃がん、大腸がん、肝硬変、膵炎
  • 代謝系:糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症
  • 心血管系:高血圧、心房細動、心筋症
  • がん全般:口腔・喉頭・食道・大腸・乳がん(女性)など
    特にALDH2が弱い人が飲酒+喫煙すると、食道がんのリスクは200〜300倍に跳ね上がるという研究もされています。

こう抜粋しただけでは、あまり危機感を抱きにくいかもしれません。しかし、現実に病気に罹るということは、日常生活に直結します。
この記事に辿り着いた方には、「もっと早く病院に行けばよかった」「あの時、異変に気づいていれば」といった後悔をしてほしくありません。みなさんの健康資産を守る近道は、とにかく予防です。とくにALDH2が弱い人が飲酒+喫煙すると、食道がんのリスクは200〜300倍に跳ね上がるという研究もされています。


遺伝子検査で健康資産を守ろう

今では自宅で唾液を送るだけで、ALDH2やADH1Bの体質がわかる遺伝子検査が受けられます。これから飲酒の機会が増えていくであろう若い世代の方にはもちろん、毎日の晩酌が習慣になっている方にもおすすめです。
https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=457KNX+E7FDF6+1234+TYQVL



ナースのひとことアドバイス

「私、赤くならないから大丈夫」と思っている人ほど危険!
赤くなる=守られてる体質
赤くならない=危険にさらされてる体質
という真逆のサインなんです。

また、アルコール依存症は誰でもなり得る病気。
特に「飲んだあと食べない」「眠れない」「イライラする」…そんな兆候があれば要注意です。


参考:このブログは、久里浜医療センター 横山顕先生の論文「アルコール代謝と健康障害」(2024)をもとに、看護師視点で解説しました。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjomh/32/2/32_171/_pdf


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